2014年11月25日
ロシア国内軍特殊部隊選抜試験 Part.1

今回はロシア国内軍特殊部隊の「選抜試験」に付いて纏めます。
※原文がロシア語ということもあって意訳が多数含まれています。あくまでも個人的なメモとして纏めていますので、予めご了承下さい。
【ロシア国内軍特殊部隊選抜試験】
国内軍特殊部隊の選抜は「適性試験」と「認定試験」で行われる。
「適性試験」で基礎体力や精神力が試され、
適性試験に合格した候補者は「認定試験」に進み、戦闘技術等が試される。

そして、認定試験に合格して初めて国内軍特殊部隊員の資格「マルーンベレー」を得ることが出来る。
適性試験は認定試験の前に2〜3日間かけて行われ、認定試験は1日で行われる。

■特殊部隊入隊候補者への必要条件
国内軍特殊部隊に入隊を希望する兵士は、戦闘任務遂行の為に健康体であること、高い道徳的及び心理的資質、責任ある行動が求められる。

候補者は持久力、強さ、素早さ、柔軟性と敏捷性の試験結果によって評価される。
評価は試験結果の獲得した得点によって決まる。
■適性試験
【一次試験】持久力
12分間のランニング。
時間内に指定された走行距離(3000m)を走ること。

【二次試験】筋力、耐久力
「運動1」
しゃがみ姿勢から足を引いて腕立て、時間を置いてしゃがみ姿勢に戻る。これを10回繰り返す。

「運動2」※運動1の直後に行う。
(1)仰向けになり、両腕は後頭部で組む
(2)膝を曲げずに足を上げる
(3)つま先を頭の後ろの床に着ける(床に接触していない場合は失格となる)
足を戻す。この運動を10回繰り返す。

「運動3」※運動2の直後に行う。
拳立て伏せ。胸が地面に触れないように肘を曲げ、腕はまっすぐに立たせること。
この運動を10回繰り返す。

「運動4」※運動3の直後に行う。
両手を頭の後ろにして片膝を付き、足を伸ばした状態で飛び上がり、逆の膝を付く。
この運動を10回繰り返す。

運動1〜4は手順、回数共に完全に実行しなければならない。
【三次試験】腕力
懸垂。足が地面に触れてはならない。顎が棒よりも上に上がらなければカウントされない。
※ぶら下がったり、素早く行うことは不可。

【四次試験】脚力
10mを最短時間で10往復する。

【五次試験】柔軟性

「運動1」縦開脚
「運動2」横開脚
「運動3」踵と爪先を揃え、身体を折り曲げて(膝を曲げずに)腿に顔をあてる。そのまま10秒間姿勢を維持する。
「運動4」座った状態から上半身を反らして横になる。そのまま10秒間姿勢を維持する。
【六次試験】敏捷性
「運動1」2人1組で特定の動作を行う。7回繰り返し(2人分)
「運動2」前方宙返り、後方宙返りをそれぞれ7回行う。
「運動3」逆立ちで7メートルを1区間を歩かなければいけない。バランスを崩し足がついた場合、スタート地点からやり直しとなる。
「運動4」匍匐前進を10メートル行う。
「運動5」オリジナル仰臥位を3連続で行う。失敗した場合はやり直し。
100点からの減点方式で採点。
【最終試験】勇気
練習試合で自制心を測る。
ボクシング形式
「1対1」:1ラウンド 3分
「2対1(ベテラン隊員)」:1ラウンド 2分
休憩無しの5分間で行う。
全ての試験の合計得点が295点以上で合格となる。

後日、適性試験合格者は認定試験を受ける。
「Part2」へつづく...
次回は「認定試験」について纏めたいと思います。
いつになるかは解りません…(汗)

【参考サイト】
http://osn.bkb-vityaz.ru/otbor.php
2014年11月22日
ロシア国内軍と国内軍スペツナズ

今回はロシア国内軍(VV MVD RF)についてメモも兼ねて纏めました。
※原文がロシア語ということもあって意訳が多数含まれています。あくまで個人的なメモとして纏めていますので、予めご了承下さい。(個別の部隊編成や細かな部分に付いては触れていません)
【ロシア国内軍とは?】
正式名称は「ロシア連邦内務省国内軍」
Внутренние войска Министерства внутренних дел Российской Федерации

ロシア内務省(MVD)国内軍総司令部隷下のロシア連邦国内での活動を目的とした準軍事組織。
公共秩序の維持、重要施設や特殊貨物の警備、領土防衛、共和国国境での国境軍への支援、テロ対策を任務とする。



活動範囲はロシア連邦国内に限定されるが、純粋な軍事作戦を任務とした組織であり、国内軍構成員の身分は軍人である。



フランス国家憲兵隊やイタリアのカラビニエリ等とは異なり、犯罪捜査等には従事しない。

上述の通りロシア内務省の指揮下*にあるため、「ロシア内務省軍」とも呼ばれる。
※但し、戦時においては指揮をロシア連邦軍参謀本部に移す。


ロシア語表記 「Внутренние войска, ВВ」
英語表記の場合は「Vnutrenniye Voyska」の略称である「VV」が国内軍を意味する。
※Wikipediaから抜粋

ロシア国内軍袖章

国内軍総司令部
司令官袖章

【軍事行政単位】
7個地域司令部(旧国内軍管区)と独立作戦任務師団(ODON)で構成される。
■ 中央地域司令部
■ 北カフカーズ地域司令部*
■ 沿ヴォルガ地域司令部
■ 北西地域司令部
■ ウラル地域司令部
■ シベリア地域司令部
■ 東部地域司令部
※2014年のクリミア・セヴァストポリの編入に際し、北カフカーズ地域司令部へ旧ウクライナ国内軍の特殊部隊を含む5部隊を追加。

国内軍総司令部の直轄部隊として「独立作戦任務師団(ODON)」を有する。
■ 独立作戦任務師団(ODON)

【ロシア国内軍スペツナズ】

「スペツナズ(OSN)」
「OSN」は「отряд специального назначения」の略称で、特殊任務支隊(スペツナズ)を意味する。



国内軍特殊部隊員の証である「マルーンベレー」
厳しい選抜試験に合格した者のみが手にすることが出来る。

国内軍スペツナズ部隊章

○○(番号)OSN(特殊任務支隊)"○○"(部隊名)と表記。

第604特殊任務センター "Vityaz"


第25特殊任務支隊 "Merkuriy"

第33特殊任務支隊 "Peresvet"


第7特殊任務支隊 "Rosich"

第15特殊任務支隊 "Vyatich"

第17特殊任務支隊 "Edelweiss"

第30特殊任務支隊 "Svyatogor"

第34特殊任務支隊*
※第34特殊任務支隊は固有の名称を持たず、単に「34」と呼ばれる。

第35特殊任務支隊 "Rus" *
※クリミア シンフェローポリ
http://www.vvmvd.ru/news/news_5278.html

第26特殊任務支隊 "Bars"

第29特殊任務支隊 "Bulat"


第28特殊任務支隊 "Ratnik"


第12特殊任務支隊 "Ural"

第23特殊任務支隊 "Obereg"


第19特殊任務支隊 "Ermak"

第27特殊任務支隊 "Kuzbass"

特殊作戦グループ "Rosomaha"*
※英「Wolverine(ウルヴァリン)」


第21特殊任務支隊 "Typhoon"

【国内軍偵察部隊】
国内軍スペツナズにはそれぞれ(各地域司令部及びODON)に「偵察部隊」が存在する。

「グリーンベレー」をかぶった国内軍偵察部隊。
「マルーンベレー」と同じく選抜試験に合格した者のみが着用を許される。

【国内軍スペツナズまとめ】
ロシア国内軍スペツナズは総勢:約17,000人いると推定されている。
第604特殊任務センター 604 TsSN "Vityaz" > ODON
第7特殊任務支隊 "Rosich" > 北カフカーズ地域司令部
第12特殊任務支隊 "Ural" > ウラル地域司令部
第15特殊任務支隊 "Vyatich" > 北カフカーズ地域司令部
第16特殊任務支隊 "Skif" ※2010年に解散
第17特殊任務支隊 "Edelweiss" > 北カフカーズ地域司令部
第19特殊任務支隊 "Ermak" > シベリア地域司令部
第20特殊任務支隊 "Vega" ※2010年に解散
第21特殊任務支隊 "Typhoon" > 東部地域司令部
第23特殊任務支隊 "Obereg" > ウラル地域司令部
第25特殊任務支隊 "Merkuriy" > 中央地域司令部
第26特殊任務支隊 "Bars" > 沿ヴォルガ地域司令部
第27特殊任務支隊 "Kuzbass" > シベリア地域司令部
第28特殊任務支隊 "Ratnik" > 北西地域司令部
第29特殊任務支隊 "Bulat" > 沿ヴォルガ地域司令部
第30特殊任務支隊 "Svyatogor" > 北カフカーズ地域司令部
第33特殊任務支隊 "Peresvet" > 中央地域司令部
第34特殊任務支隊 > 北カフカーズ地域司令部
第35特殊任務支隊 "Rus" > 北カフカーズ地域司令部
特殊作戦グループ "Rosomaha" > シベリア地域司令部
偵察部隊

※偵察部隊についてはまだ詳しく調べていません。
偵察部隊にも個別の部隊名が存在します。
今度は「国内軍特殊部隊選抜試験」について纏めようかと思います。

【参考サイト】
ロシア国内軍
http://www.vvmvd.ru/
Wikipedia
2014年07月23日
ロシア内務省 特殊任務センター 航空隊及び即応部隊(TsSN SOR)

今回はロシア内務省モスクワ州内務総局隷下の「特殊任務センター」について纏めてみました。

あの"Lynx"もここに所属しています。

【ロシア内務省について】
ロシア連邦国内の法秩序の維持を担当する「ロシア内務省(MVD)」は、
国内軍総司令部隷下の準軍事組織である「国内軍(VV)」と警察機関である「Politsiya(旧Militsiya)」で構成されています。

同センターは、
2011年に大統領令の「法秩序維持の為の追加的措置」に基づき、
モスクワ州内務総局隷下、ロシア内務省の直轄部隊として設立されました。
ロシア内務省特殊任務センターは
機動部隊である OMON "Zubr"
即応部隊である SOBR "Lynx" (Rys)
航空部隊である AOSN "Yastreb" によって構成されています。
通常、OMON及びSOBRは連邦構成主体(ロシア連邦を構成する地域)ごとの内務総局に置かれています。
※内務総局所在地

ロシア内務省特殊任務センターでは、独自の航空部隊である"Yastreb"によって各地に"Zubr"及び"Lynx"の派遣が可能となっています。
※特殊部隊の運用イメージ

Центр специального назначения сил оперативного реагирования и авиации МВД России
OMON "Zubr"

部隊章は「ヨーロッパバイソン」

※上は旧デザイン。下が現行の物。
モスクワで特別編成された機動部隊。
社会秩序及び公共安全の維持、多くのイベント(集会、デモ、行進、スポーツイベント等)の警備を行う。








「特別任務民警支隊(OMON)」の呼称は2011年の警察改革で「民警(Militsiya)」の公称が変更になった事により、"Otryad Mobilniy Osobogo Naznacheniya"として、「Militsii」の"M"が「Mobilniy」に変更されました。当ブログでは「特別任務機動支隊(OMON)」と表記します。

SOBR "Lynx"

部隊章は「ヨーロッパオオヤマネコ(別名:シベリアオオヤマネコ)」

※上は旧デザイン。下が現行の物。
各地域のSOBRから選抜された精鋭によって編成されている。
多国間演習にも積極的に参加し、組織犯罪及びテロ対策を行う。
各地に潜伏する武装勢力の掃討作戦にも従事している。















「特殊任務民警支隊(OMSN)」もOMONと同様に"M"の表記が変更され「特殊任務機動支隊(OMSN)」となった後、2012年には再び"SOBR"の名称に戻りました。
SOBRは直訳すると「即応特殊部隊又は特殊即応支隊」ですが、当ブログでは国内で多く使用されている「緊急対応特殊課(SOBR)」の表記にしています。(ほとんどの場合"SOBR"と表記しています)

AOSN "Yastreb"

部隊章は「鷹」

2012年にモスクワ警察のヘリコプター部隊から編入され、人員輸送や偵察機による監視活動等、地上部隊の活動を支援している。









ヘリ、UAVの他、長距離人員輸送の為の大型旅客機も保有しています。



【おまけ】
所有している"Lynx"パッチ

※レプリカです。
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